■■■ Yao特許商標ニュース No.03 ■■■■

                        大阪府八尾市山本町

                弁理士、中小企業診断士 鷹津 俊一

 

 桜の便りのおり、本年第3号のYao特許商標ニュースをお届けします。

このニュースは、過去に展示会、講演会等のイベントやお仕事にさいして

ご縁をいただいたお客さまへ配信いたしております(配信停止のしかたは

下記します)。

 

 1月~3月までの3回にわたって、今年以降の法改正によって予定され

ている職務発明制度の変更と企業の対応についてお知らせしています。

 

   1月 発明者主義原則の例外

   2月 職務発明規程を置かないことのリスク

   3月 発明者特定の厳格化の必要性

 

□□トピックス□

 

特許、実用新案、意匠、商標の検索のため平成11年にスタートした

特許電子図書館(IPDL)のサービスが先週で終了し、今週からは下記サ

イトの「特許情報プラットフォーム(J-Plat Pat)」に衣替えしました。

これまでのIPDLと同様に、多くのユーザーに愛用されることが見込まれ

ます。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

 

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                       平成27年3月24日

                 鷹津中小企業診断士・弁理士事務所

 

職務発明制度の変更と企業の対応

(3)発明者特定の厳格化の必要性

 

★発明者に数えてもらえなかったら?

 

 発明や考案、意匠の創作は一人の社員が生み出すときもあれば、複数人

で生み出すときもあります。開発や製造の現場では、多くの場合に同僚や

上司・部下と一緒にすばらしいアイディアに辿り着きます。ところが、何

らかの理由で、本当は自分も発明者(創作者)の一人であるのに、会社に

は自分以外の社員だけが発明者として認められるようなときは何が起きる

のでしょう。

 

★★冒認出願にならない!

 

 現行法によれば、上の「自分」は真の発明者であって、特許を受ける権

利の一部(持分)は自分に残っています。にもかかわらず、会社は自分を

発明者と認めることなくその発明について単独で出願を行うのですから、

会社は権利の全部を承継せずに出願をするのであって、その出願はいわゆ

る冒認出願に該当します。しかし、平成27年以降の職務発明制度の変更

によって権利が初めから会社に帰属するのであれば、持分が誰かに残ると

いう事態は生じ得ず、冒認出願には該当しませんので、会社は瑕疵のない

権利を手にすることができます。

 

★★★「インセンティブ」を働かせるために...

 

 平成27年以降の制度変更は、社員・元社員らによる提訴のチャンスを

今以上に減らしたいために大企業らによって提案されたものであることを

述べました。しかし、上で述べたように冒認出願とならないことを奇貨と

して発明者の特定が甘くなれば、改正法に定められる「インセンティブ」

が真の発明者たる社員には働かないこととなります。そして、社員の不満

が却って大きくなるか、社員の発明や創作に対する意欲が減退するといっ

た結果になりかねません。こうした事態を生じないために、会社はこれま

で以上に発明者特定を厳格化する必要に迫られています。

 

 以上のような制度変更について、当事務所のホームページではもう少し

詳しく説明をしています。ぜひこちらもご参照なさってください。

 

 職務発明制度の変更と企業の対応

 http://www.takatsu-pateco.jp/職務発明制度の変更と企業の対応/

 

                        (事務所代表 鷹津)

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☆☆野村証券職務発明事件の判決

 先号において、法に従った職務発明規程を置いているのなら、裁判に訴

えてまで増額を求めるに及ばないことを述べました。裁判の結果ここで言

う増額(2億円)は認められなかったものの、その前提として、会社(野

村証券)は、規程について訴えた社員と協議を行わず、一部を開示もせず、

また、額の算定についての意見聴取や不服申立て等の手続がその中に定め

られていないために、その規程通りの対価支払いが不合理であるとする判

断が昨年10月30日に東京地方裁判所によってなされています。地裁の

判決ではありますが、平成27年以降の改正後においても、こうした手続

を重視する制度変更となるであろうことが、あらためて思い起こされる事

件と言えます。

 

 鷹津中小企業診断士・弁理士事務所は、鷹津俊一が代表を務める特許商

標事務所です。お客さまの事業モデルや経営方針に合った工業所有権(特

許、実用新案、意匠、商標)の取得と維持管理を共に考え、お客さまの力

を最大限に活かす知的財産マネジメントのお手伝いをさせていただきます。

 

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 ありがとうございました。

 

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