■■■ Yao特許商標ニュースNo.02 ■■■■

                        大阪府八尾市山本町

                弁理士、中小企業診断士 鷹津 俊一

 

 春寒ゆるむおり、本年第2号のYao特許商標ニュースをお届けします。

このニュースは、過去に展示会、講演会等のイベントやお仕事にさいして

ご縁をいただいたお客さまへ配信いたしております(配信停止のしかたは

下記します)。

 

 1月~3月までの3回にわたって、今年以降の法改正によって予定され

ている職務発明制度の変更と企業の対応についてお知らせしています。予

告なしに内容を変更するときはどうかご容赦ください。

 

   1月 発明者主義原則の例外

   2月 職務発明規程を置かないことのリスク

   3月 発明者特定の厳格化の必要性

 

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                       平成27年2月19日

                 鷹津中小企業診断士・弁理士事務所

 

職務発明制度の変更と企業の対応

(2)職務発明規程を置かないことのリスク

 

★裁判なんてトンデモナイ

 

 職務発明制度の変更を要求しているのは企業側であり、特に大企業の動

きが活発です。最先端技術を扱い、一つの発明が莫大な利益をもたらすこ

ともあるのですから、社員・元社員らが訴訟を提起するチャンスをできる

だけ減らしたいと考えるのは当然でしょう。平成16年の法改正において、

規定に従った職務発明規程を置いているのなら、裁判に訴えてまで増額を

求めるには及ばないことが定められました。平成27年以降の制度変更後

においても、法に基づく「ガイドライン」に従った職務発明規程を置くこ

とが求められる見込みです。ガイドラインの内容は、規程を定めるための

「手続」が主体となります。

 

★★職務発明規程が円満の秘訣

 

 制度変更後には特許を受ける権利が発明時から企業に帰属しますので、

従来の「承継」は起きず、承継の「対価」という概念が生じ得ません。代

わりに、社員に対する「インセンティブ」という言葉を用い、各社の職務

発明規程においてはガイドラインに従って、しっかりとインセンティブの

付与について決めておくことを求めます。これを守っている限りは、現行

法と同じように、増額を求める余地を認めないことが予想されます。従っ

て、職務発明規程を置くことが労使間の円満の秘訣と言えますでしょう。

 

★★★クローズアップ「規程を置かない企業」

 

 政府(産業構造審議会)の特許制度小委員会がこの結論に至るまで、職

務発明規程を置かない企業の存在が何度も話題になりました。中小規模の

企業であれば、社内規程のために人と時間を割くのが容易でないのは当然

で、先月の報告書も、そうした事態に「配慮」するとしています。小委員

会の議事録からは、規程を置かず、インセンティブについて決めておくこ

とができない企業の場合は、現行特許法第35条第5項のように、争って

決めることも止むなしですね、という配慮に読めますがいかがでしょう。

 

 以上のような制度変更について、当事務所のホームページではもう少し

詳しく説明をしています。ぜひこちらもご参照なさってください。

 

 職務発明制度の変更と企業の対応

 http://www.takatsu-pateco.jp/職務発明制度の変更と企業の対応/

 

                        (事務所代表 鷹津)

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☆☆発明は昭和、裁判は平成

 裁判所の認めた対価額が10百万円を超えた裁判のうち、最近のものは

平成24年の控訴審です(アステラス製薬)。対象となった複数の発明は

昭和60年以前に特許出願がなされたもので、権利も平成21年までに全

て満了しています。ということは、仮に平成27年に職務発明制度を変更

する法改正がなされても、施行後に発明が生み出され、企業が出願をして、

例えその「インセンティブ」を不服とする訴えが起こされるとしても、そ

の時は再び元号が変わっているかもしれません。法律をコロコロ変えては

いけないのであって、今度の改正にも慎重な検討を期待してします。

 

 鷹津中小企業診断士・弁理士事務所は、鷹津俊一が代表を務める特許商

標事務所です。お客さまの事業モデルや経営方針に合った工業所有権(特

許、実用新案、意匠、商標)の取得と維持管理を共に考え、お客さまの力

を最大限に活かす知的財産マネジメントのお手伝いをさせていただきます。

 

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